街中でよく見かける光景。
右折のタイミングを待つ車が、すでにハンドルを右に切って止まっている。
一見、「スムーズに右折する準備ができている」ように見えるかもしれませんが、実はそれ、大事故の引き金になる極めて危険な癖です。
今回は、なぜ“ハンドルを切ったまま右折待ち”が危ないのか、そして私たちがその危険をどう回避すべきかを、元救急隊員としての視点からお話しします。
【ハンドルを切って止まる=リスクの入り口】
右折を待つ間にハンドルを先に切っておく。
この行為が何を引き起こすか、想像したことはありますか?
後続車から追突された場合、車は切った方向(=対向車線)へ押し出される可能性が極めて高いのです。
発生し得るリスク
- 対向車との正面衝突
- 横断歩道上に飛び出し、歩行者を巻き込む
- 他の車両を巻き込んだ多重事故に発展
- 同乗者や自身の命を失う可能性
これは単なる「うっかりミス」では済まされない。
“まっすぐ止まってさえいれば防げた事故”なのです。
危険が常態化してしまう理由
「前の車もそうしてたから」
「教習所では聞いたけど、実際には誰もやってないし」
「早く右折したいから、少しでも準備しておきたい」
こういった理由で、つい癖になっている人が多いのが実情です。
でも、早く行くよりも安全に行くことの方がずっと大事だという原則を忘れてはいけません。
プロドライバーや救急隊員なら絶対にやらない
私自身、救急車の運転を長年担当してきました。
数えきれないほどの事故現場にも立ち会いました。
中でも印象に残っているのが、右折待ちの車がハンドルを切って止まっていたため、追突されて対向車線に飛び出し正面衝突したという事故です。
まっすぐ止まっていれば追突だけで済んだものが、対向車との衝突で命を落とす大事故に発展してしまいました。
救急車の運転では、どんなに急いでいてもハンドルは最後まで切らないのが常識でした。
なぜなら、搬送中の傷病者や仲間の命を守るためには、わずかなリスクも排除しなければならなかったからです。
結論:右折は“最後にハンドルを切る”が正解
- 右折する際は、進行方向が安全に確保できた段階でハンドルを切る
- それまではまっすぐ止まっておく
これが命を守る運転の基本です。
早く行きたいという気持ちや後続車を気にするあまり、基本を忘れてしまうことが事故の引き金になります。
安全運転とは、止まるべきときにきちんと止まれること。
それができないなら、運転する資格はないとすら言えます。
たった数秒の判断が命を分ける
追い越しや右折待ちなど、ほんの数秒を我慢すれば防げた事故は実は驚くほど多いのです
運転は自分だけの世界ではありません。
あなたのそのハンドル操作が、誰かの人生を奪う可能性があることをどうか忘れないでください。
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